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wakami外伝

山村若三のブログ。メモ代わりに気が向いたときに思いついたことを記録します。

教えること

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教えること

私は自分が踊るかたわら師匠として生徒を教えているが、それで生活しているわけではない。
別に仕事を持ち、それを経済的な基盤にしている。

母は踊りを生業にしてはいけないと常々言っていた。自分の金で本当に踊りたいものを
踊るから道楽なのであって、生活を踊りに依存すると好きなことができなくなる、と。

どこかに気前のいいスポンサーでもいれば別だが。。


生徒が何を望んでいるかは別にして、私はどんな生徒もできるだけ上手にしてあげたいと
思うから「見て覚えろ」なんて無理は言わず、いちいち言葉で説明するようにしているし、
何度言っても変わらなければ時に厳しいことを言うことだってある。

だがプロの先生(師匠を職業にしている人)はそうではない。

ビジネスとしての師匠業で重要なのは、ひたすら生徒を増やし、今いる生徒を辞めさせない
ことだ。楽しさを前面に押し出して教室の宣伝をし、生徒が喜びそうなイベントを定期的に
開催し、おさらい会で生徒が踊ればとにかく褒めるのだ。

生徒が上達しなくても何も困らないのだから、決して怒ったりしない。


一昨年だったと思うが、とあるプロの先生の稽古場を見学する機会があった。
生徒の中には箸にも棒にも掛からぬ人がいて、そのうち先生が怒り出すんじゃないかと
ハラハラして見ていたが、先生は終始笑顔を絶やさず、とにかく優しいのだ。

「このヘタクソ!」などとは口が裂けても言わない。無理にでも良いところを見つけて
とにかく褒める。そして次に希望が持てるよう親切にアドバイスする。

生徒には厳しいお稽古されないんですか?」と訊いたら、
「絶対に厳しいことは言いません。生徒じゃなくてお客さんだから。」ということだった。

教えることはその人にとって生業であるだけでなく、ファンを増やす活動の一環でもある。


いやー、この歳になって目から鱗だった。

実際、生徒の多くは厳しい稽古など望んでいないように思う。
だったら教える側も教わる側も難しく考えず気楽にやった方がお互い疲れないし、
その結果長続きして、その中から将来自ら学ぼうとする生徒が出てくるかもしれない。

上達する生徒は、先生がいちいち教えなくても勝手に上達するのだ。



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wakami
性別:
男性
自己紹介:
自分のつたない舞を通じてひとりでも多くの人が上方舞のすばらしさを知ってくれたら、と日々妄想しています。

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