柴又の「川甚」は、帝釈天の参道を通り抜けた先にある川魚料理の老舗であったが、今年1月
惜しまれながら閉店した。
コロナが閉店の直接の引き金になったことは間違いないだろうが、その前から客は減っていた
と思う。
岐阜にも宴会場のある川魚料理の店はたくさんあったが、今はどれくらい残っているだろうか。
もう7年前になるが、若三会の新年会で一度だけ利用したことがある。舞台つきの大広間を
借りて、おさらい会の後、据え膳でうなぎや鯉などの川魚料理を楽しんだ。
社長が直接部屋まで案内してくれたのをよく覚えている。
江戸川で採れる魚を食べさせる船宿としてスタートし、全盛期には文豪や俳優など有名人が
頻繁に訪れたそうだ。
自分は昭和の人間なので宴会旅館に行くと無性に嬉しくなるのだが、こうした古き良き昭和の
業態から早めに転身できなかったのが川甚の敗因だろう。
古いものはいずれなくなる。それは仕方のないことだが、せめてもう一度夏にうなぎを
食べたかった。
何とも寂しい限りだ。