私が所属する城東ブロックの会員は2015年には290名近くいたのに、5年間で50名近く
減ってしまった。東京支部全体で見ると2,000人いた会員は1,700人になった。
日舞の危機は何十年も前から誰彼ともなく訴え、協会も裾野を広げるさまざまな取組みを
行ってきたが、会員数の減少は止まらない。
これは舞踊協会にとって最大の課題だが、無責任ながらこの情報に接して個人的に想起
するのはヒトの加速度的な老化である。
生物学的にヒトは20~30歳で細胞の成長がピークを迎え、以降老化が始まるという。
老化には個人差があり、矍鑠(かくしゃく)たる90歳もいれば、60歳で衰弱しそれまでの
生活が困難になる者もある。
だがどんなヒトも、たとえば30歳から35歳になったときの心身の変化量に比べれば、
50歳が55歳になったときの心身の変化量は著しく大きい。
ヒトはリニアに老けるのではなく、加速度的に老けていく。
いつまでも元気に違いないと思っていた人をある日突然見なくなったりするたびに、
それを感ずるのである。
たとえば、科学者がもっと万人にわかりやすく老化のメカニズムを説明してくれたら、
みな人生の終盤をどう生きるか、もっと真剣に考えるのではないかと思う。