wakami外伝

山村若三のブログ。メモ代わりに気が向いたときに思いついたことを記録します。

習い事の変遷

(ヨミダス通信「日本的な教育爆発」より)

明治36年(1903年)1月30日付「現今東京の舞踏」には「舞踏(おどり)の稽古の目的は
行儀すなわち起居動作(たちふるまい)のしつけのため」とあり、明治39年(1906年)
12月6日付には「年末でも芸事盛ん とくに箏曲や長唄」とあります。
また「近来西洋音楽に趣味を有する者多くなりしため、男女学生にてピアノ、バイオリンを
稽古する者」が多くなっているが、「日本音曲師匠に影響を及ぼす程」のことはないと
書いています。

昭和31年(1956年)3月10日付「みんなで良い子に育てよう」では、ある女の子の例として
「一週間のうち六日間を三味線や舞踊のけいこに行き、あとの一日を珠算のけいこに行く」
とあり、昭和32年(1957年)1月27日付[気流]では、茨城県高萩市の男性教員(31)が
「最近子供のけいこごとが目に見えてふえ」、「一週間中五日間も通っているものもあり、
なかには夜のために体力に無理が生じて、教室で居眠りをする生徒さえ見受けられる」と
投書しています。

昭和57年(1982年)5月28日付[社説]では、「教育費は、年々家計を圧迫」していると
指摘し、「塾やけいこごとにかける金が急増しており、極めて日本的な教育爆発現象を見せて
いる」と書いています。理由として「学歴信仰はなくならず、高学歴でよりよい社会的地位を
目指そうとする親の願いが、子供数の減少にも支えられて強まったこと」などを挙げています。

21世紀になると、「学歴社会への疑問や少子化を背景に、漠然と『いい学校』を目指すより、
実利的な技能が身につく習い事に親が注目」し始めます。(2001年1月13日付
[こども発ニッポン])
2002年1月5日付[コドモ以上オトナ未満]でも「年功序列、終身雇用といった従来の企業
社会が崩れ、長引く不況の中、『将来のために』」と、親も子も余裕をなくす様子を描いて
います。

「たくさんの友だちと仲良くして、勉強もできて、得意な習い事があって、生活体験も豊富。
不透明で複雑な社会を生き抜くため、子どもたちは多くを求められ、緊張状態」ともあります。
(2003年5月29日付[どうする?子どものなかまづくり])。
進学塾(兵庫県西宮市)の副学園長は、「昔は、いい学校を出たら将来は保証されていた。
しかし最近の親は、それだけでは不安を感じ、勉強以外にも特技や資格を備えてほしいと
考えている」と分析しています(2003年6月2日付[学力を追う])。


ところで、「習い事といえば、かつては花嫁修業のこと」でした。(2003年5月28日付
[おんなと男・上方流])
昭和51年(1976年)1月22日付[ゆれ動く青春の中で]にも、「かつては生け花、茶道、
料理、編み物、和洋裁など種類も限られていた」とあります。
昭和27年(1952年)12月6日付[コドモのけいこ場]では「お花は以前は嫁入り前に必ず
おさめる修行の一つだった。
平成になっても、2003年4月2日付[幸せパレット]には、東京・大塚の着付け学校が開く
「料理、茶道などを一年間習う」「いわゆるフィニッシングスクール(花嫁学校)」に
「女性としての魅力を磨きたい」という参加者が増えているとあります。

一方、2008年1月10日付「会社後はランニング、移動は自転車…運動する女性増える」では、
働く女性向け情報紙の担当者が「働く女性の習い事が料理や茶道など趣味的なものから、
ヨガやマラソンなど体を鍛えるものに変わってきた」と説明、2018年3月13日付「生活調べ隊]
でも、「若い女性の間で、筋肉を鍛えたり、ハードなトレーニングに取り組んだりする人が
増えている」とし、「仕事に育児や介護と、役割の多い女性の間で、体が資本、頼れるのは
自分自身との意識が高まっている」との声を紹介しています。

2017年に子どもにさせたい習い事の第1位は「プログラミング教室」だったそうです。
(2017年6月21日付「玩具で プログラミング 20年 小学校で必修化」)


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自分のつたない舞を通じてひとりでも多くの人が上方舞のすばらしさを知ってくれたら、と日々妄想しています。

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