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wakami外伝

山村若三のブログ。メモ代わりに気が向いたときに思いついたことを記録します。

無常

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無常

道八芸談の最後の方に三味線について語ったところがあるが、明治時代の演奏家と
職人の様子が垣間見えて興味深い。

三味線の材料は、木(紅木や花梨)、猫や犬の皮、象牙、絹など、自然の動植物に
由来し、それを人間の手で組み上げるので、一つとして同じものは存在しない。

材料については、道八が昭和の初めに自分の若い頃を振り返って「今はいい材料が
手に入らなくなった」と言うように、上質な材料は年々入手が困難になっている。
それを組み上げる職人は三味線屋だけでは食えないから、もうずいぶん前からその数が
どんどん減って、明治時代の職人技は伝承されないまま消えてしまった。

当時の演奏家達が手にしていた三味線がどんな音色を奏でていたか、高音質の音源が
存在しないから今となっては確かめようがない。
失礼ながら極論すれば、名器のお手本がない状態で二百万円もする高価な三味線が
現在製作されていることになる。

楽器としての三味線は明治時代の名器と比べて基本構造は変わっていないから、
退化したわけではないが、品質はおそらく相当劣化している。

科学技術が高度に発達した現代なら、人工素材だけを使って三味線の音色を再現する
楽器の製作が可能だろう。生では難しいがエレキにすればいけるのではないか。
津軽や現代音楽で使えば面白い効果が期待できるかもしれない。

ただ、この種の変化には常に一抹の寂しさがつきまとう。
例えば、かつてレコードがCDになったときのように。

すべてのものは常に変化して、やがて滅びる。
変化や衰退を避けて通ることはできないのだ。


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wakami
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男性
自己紹介:
自分のつたない舞を通じてひとりでも多くの人が上方舞のすばらしさを知ってくれたら、と日々妄想しています。

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